2023年4月29日

DevOps

社内開発者ポータルを導入する際によくある3つの落とし穴

ここでは、開発者向けポータルを導入・構築する際に企業が直面する一般的な課題を紹介し、これから導入を検討する際の判断材料をご提供します。

3 Common Pitfalls.pngここでは、開発者向けポータルを導入・構築する際に企業が直面する一般的な課題を紹介し、これから導入を検討する際の判断材料をご提供します。

 

最近、ソフトウェア業界では、開発者がアプリケーションの構築と展開に必要なツール、サービス、情報にアクセスできるプラットフォームエンジニアリングの中心的なコンポーネントとして、内部開発者ポータル(IDP)がもたらすメリットについてよく耳にするようになりました。うまく導入すれば、開発者の認識負荷を軽減し、ワークフローを合理化できます。

IDPを構築する最も一般的な方法の1つは、Backstageライブラリーを使うことです。Backstageは急速に成長しており、現在では1000以上の組織で導入されています。ただし、導入が成功するたびに、失敗するものもいくつかあります。

IDPの導入を検討している何百もの企業と話をした後、私はこの過程でいくつかの落とし穴があることに気付きました。ここでは、開発者向けポータルを導入・構築する際に企業が直面する一般的な課題を紹介し、これから導入を検討する際の判断材料をご提供します。


 

1. 多大な労力とメンテナンスが必要

私たちは、専任のチームを作成するどころか、フルタイムのエンジニアを配置することさえせずに、開発者ポータルを管理しようとしているお客様を見てきました。このケースにおいて、上手く機能している状況を見たことはありません。膨大な労力が必要となるため、エンジニアはそのプロジェクトを断念してしまうのです。最近のRedditスレッドを見ると、最大の落とし穴として強調されているのは、「Backstage自体を維持するための労力の量を過小評価していること」です。

Gartnerのアドバイスに従ったり、Backstageの導入戦略に関するドキュメントを見たりすると、最初のいくつかの社内チームを立ち上げるには、平均2.5人のエンジニア(フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、そして少なくともDevOpsエンジニアのパートタイムコミットメント)が必要であることが分かります。さらに、製品担当者が加わることで、社内の開発者向けポータルで解決できる正しい問題の優先順位を、チームが理解できるようになるのです。

チームを立ち上げた後でも、IDPを維持するために必要な知識量はかなりのものになります。利用可能なツールの多くは新しいため、保守者のニーズをサポートするための適切なドキュメントやコンテンツが不足しています。基本的な毎月のアップグレードでさえ、人々はそれをどのように正確に実装すべきかを理解するために頭を悩ませます。しかし、ワークフローを合理化し、開発者の認識負荷を軽減することで、生産までの時間を大幅に改善できるため、必要な労力に対する見返りは非常に大きいです。

2. 高度なカスタマイズが必要だが、手間がかかる

開発者用ポータルは、各社で同じものはありません。企業ごとに課題が異なるため、開発者ポータルをカスタマイズする必要があります。チームが必要とするカスタマイズのレベルはSaaSプラットフォームが通常提供するレベルを超えており、全ユーザーに対してそのカスタマイズを維持するのは非常にコストがかかるからです。リストには次のものが含まれます。

  • ユーザーインターフェイス(UI)コンポーネントとビュー
  • メニューとサイドバーの項目
  • プラグインを選んだり、独自のプラグインを作る機能
  • 既存の信頼できる情報源からのコンポーネントを使ってカタログを更新する
  • アプリのテーマ、ブランディング、ルックアンドフィール
  • 独自のワークフロー(サービスのオンボーディングなど)や、ワークフロー内にコードを記述する機能
  • 社内ツール全体の検索
  • ロールベースのアクセス制御(RBAC)、ガバナンスなど、使用に関する複雑なアクセス許可ポリシー

このような要件から、企業のニーズを満たす完全なエンドツーエンドのIDP体験を提供するプロバイダーは多くありません。

3. 社内導入には戦略的なエバンジェリズムが必要

IDPの採用には時間がかかり、戦略も必要です。新しいポータルを立ち上げるとき、開発者は、既に定期的にアクセスしている他の数十のポータルがあるのに、なぜ並行して新しいポータルを使う必要があるのかを、必ずしも理解しているわけではありません。開発者が働き方を変えるには時間がかかります。優れた導入戦略では、開発者の生産性と幸福度を向上する必要があります。

同じ組織内であっても、開発チームはさまざまな問題に直面します。例えば、自分のソフトウェアのデプロイ観察に興味がある人もいれば、最新のビルド観察、ドキュメント調査、APIの依存関係の確認をしたい、と考えている人もいます。

開発者は、この新しいポータルが自分たちのユースケースにどう適合し、問題を解決してくれるのかを確認する必要があります。そのため、IDPとそのプロセスが具体的にどう自分たちの経験を向上するのかを示すには、お互い協力し合う中で、ある程度の時間が必要なのです。

IPDの旅をどう進めていくか、一緒に考えてみませんか?

IDPを導入したいけれど、どんな課題があるのか分からない…という方はいらっしゃいませんか?お客様の声を聞きながら、Harnessがお客様のデベロッパーポータルの旅に貢献できる方法を探求しています。ご興味がおありでしたら、ぜひお話ししましょう。詳細については、[email protected] またはCommunity Slack(#internal-developer-portal)にご連絡ください


この記事はHarness社のウェブサイトで公開されているものをDigital Stacksが日本語に訳したものです。無断複製を禁じます。原文はこちらです

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